調査士の便利な道具 紹介のコーナー


 このコーナーでは、土地家屋調査士が利用する道具を
紹介していきます。一般的な測量ツールに限らず、特殊な
道具にもスポットを当てていきます。



第23回 各社のトータルステーションを比較してみる その3


さて、今回も実際に各社の機種を扱いながら、
その使用感をお伝えしたいと思います。

トータルステーションを設置後、
(1)観測点を視準していく観測作業
(2)既設点からの復元(杭打ち)作業
(3)観測と復元の切替操作の作業

についてレポートします。



最初はS社製のトータルステーションです。


 観測方法はいたってスタンダードなもの。
望遠鏡の上下についている「照星」を目安にある程度の方向を見定め、
水平角・上下角ともに固定ネジと微調整ネジを操作してミラーを視準します。
ディスプレイが広く多くの情報が表示されますが、ゴチャゴチャした感じではなく
見やすい部類に属します。

 復元作業についてはディスプレイ上部に計算上の挟角と距離を表示し、
下部に現在の挟角と距離を表示するようになっています。
角度を0°に合わせて距離の差を0に縮めるように作業します。
この方法もごく標準的なものであると思われます。

 面白い機能として、復元点を選ぶ方法として、器械点を中心とした同心円内の
一定の範囲(例えば半径10mの円内)の点を一覧リストにして表示し、
その中から点を選ぶ、といったことができます。
器械点に近い点から順に復元していきたい、なんて時に役立つ機能ですね。

 復元作業中に観測モードへ切り替えることについて、この機種は比較的容易に可能です。
後視点を再度視準することなく、器械点名と後視点名をディスプレイ上で確認さえすれば、
すぐに観測モードへ切り替えることができます。
また、この時観測した点の座標は記録作業を行うことにより座標値がデータとして登録されるので、
新たな器械点を作る場合などに重宝します。



次はT社製のトータルステーションです。



この機種の最大の特徴は、タッチパネル式の大型ディスプレイにより初心者でも、
非常に扱いやすいということです。起動後に測量画面が出ますが、フルメニューと
簡易メニューが選択できるようになっています。簡易メニューの方は、不要な選択肢が
省略されるため単純でわかりやすくなっています。
専用のペンで操作しますが、タッチパネルなので指で画面を押さえることもできます。
しかし、指が太い人や冬場指が震えてしまっている時は、少し操作しづらいかもしれません。

観測方法は、前記のS社製とほぼ同じような操作方法で、スタンダードなものです。
写真では距離観測が「斜距離」となっていますが、当然「水平距離」にも切り替え可能です。

復元作業は、復元したい点番を直接入力する方法と、ディスプレイ上のプロット図より選択して
入力する方法があります。これは、器械点と後視点を入力する際も利用できるため、現場に
図面を忘れたときは、非常に便利です。点数が非常に多い時や点番を完全に忘れたときは、
ちょっと不安になりますが・・・。あとの操作方法は、S社と同じように角度を0°に合わせて
距離の差を0に縮めるように作業します。

 復元作業中に観測モードへ切り替えることについては、所有者によれば、
おそらく容易には切り替わらないと思う、ということです。切替時に再度、後視点を
視準しなければならないようで、この点については、実際に試したことがないということで、
もしかすると可能なのかもしれません。



次はN社製のトータルステーションです。


 こちらも操作方法は他の機種と同様に固定ネジと微調整ネジの2つを操作してミラーを視準します。

 観測時の画面は写真のように必要最低限の表示となり、余計な表示は一切無し。
しかし、ページを切り替えることにより、他の表示もできるようになっています。
画面下部の「1/4」というのが、4分の1ページ目を表示しているという意味です。

 復元作業についても観測時同様のシンプルな表示ですが、機能的に他の機種に
劣るようなところはありません。余計な表示が無用の方にはお薦めですね。

 復元作業中に観測モードへ切り替えについては、マニュアルにその詳しい説明がなく、
また表示画面の寂しさからかできなさそうな印象を受けましたが、特に問題なく行うことが
できました。モードの切り替え時に後視点を再測する必要もないため使いやすいです。
ただ、キー操作に関してはキーの数が少ないため、やや入力が煩わしい部分もありました。



最後はL社製のトータルステーションです。


 こちらの操作方法は独特で、他の機種のようにネジが2つではなく1つしかありません。
固定のためのネジは存せず、微調整ネジのみとなっています。
水平・垂直ともに手で器械を動かし、止まったところで固定し後は微調整、となるのですが、
この方法は他の機種になれている人ほど抵抗があるようです。
他機種使いの方からは「(ネジで締めなくても)本当に動かないの?」といった質問が出ていました。
方法は独特ですが、使用に関して支障はないようです。

 観測時の画面は画面の広さを活かして多くの情報を得られるようになっています。
写真の表示は一例であり、この項目はユーザーが好きなように変更することができます。
またカーソルキーで下方向へスクロールすることで別の項目表示をすることも可能です。

 復元作業についてもグラフィカルな表示ができます。
左右の移動に関しては角度表示で名はなく、距離による表示が選べるのが面白いですね。
これは自動視準の強みで、復元したい点の位置に角度を固定せずとも、測るたびに
ミラーの位置を器械が捉えて前後左右の距離を指示するような方法を採っているからです。

 復元作業中に観測モードへ切り替えについては、この機種は特にモード変更を意識せずに
ダイレクトに復元中の観測ができます。特別にモード切替作業をしなくても、復元中に測った
点は任意の点名を入力することで、即座に座標値が記録されるようになっています。
復元した杭の確定値を取り直す、といった作業がスムーズに行えます。





 以上、3回にわたって各社のトータルステーションを紹介してきましたが、
正直なところ、この程度のつたないレポートではコーナーの趣旨をお伝えするのが
非常に難しいことを実感しました。

 現在のトータルステーションはどれもみな高精度かつ高機能化しており、
基本的な部分での違いというのは小さなものでしかありません。それゆえに、
メーカーは独自の機能をアピールすべく、改良を重ねているように思われます。
ここ数年はノンプリズム測距、ワンマン測量、GPS測量との連携、などなど
目新しい機能がユーザーの目を引いているようです。

 しかし、基本的な性能や操作性を見る限り、メーカーがユーザーのかゆいところに
手を届くような工夫を凝らしているかどうかは別の問題のようです。
一見すると「楽だ!」、「こんなすごいことができる!」とアピールされている機種が多い
ようですが、基本的な作り込みで唸らせてくれるような、真の意味での「便利だ!」と
思える機種はそう多くはないようです。

 また、各機種の所有者が声を揃えていたのが、操作説明書のわかりづらさ、です。
「こんなことができます」といった記述は多いけれど、「こういう場合には・・・」といった
記述が少なく、知りたいことが探しにくいマニュアルがほとんどのようでした。

 多くのユーザーが欲しているのがどの部類の機種であるかは定かではありません。
しかしトータルステーションという器械が測量に携わる人々の「道具」である限り、
使い手の側の視点に重きを置いたものこそが、便利な器械ではないかと思われます。
今後、ユーザー本位の使いやすい機種が増えることを願って、今回のレポートを
閉じさせていただきます。





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便利な道具を使っている、
珍しい機械を持っている、
他の会員にもお薦めしたいもの、
などがありましたら、是非、調査士会の方まで御一報下さい。