従来の測量機器との比較

 補助者が常に在籍しており、特にワンマン測量にこだわらなくても良い場
合であっても、このシステムを利用するメリットがある。先にも述べたような
自動視準機能は、機械を人が操作する場合でも有効である。すなわち、
手動で機械をミラーの大体の方向に向け、後はボタンを押しさえすれば、
ミラーの正確な位置を記録することができるのである。

 機械を向ける動作で特徴的なのは、エンドレススクリュー(ねじの行き止
まりがない)であるため、不用意に本体が動かないようにする固定ねじがな
いことである。一般的な測距儀は固定ねじと微調整ねじが2つ、水平角用と
鉛直角用にそれぞれついている。これに望遠鏡のピント用ねじを加えれば、
観測時には5つのねじを操作することになる。ところが、この機械は固定ねじ
がないし、後述の自動視準機能を使えば角度の微調整やピント合わせも
不要なので、ねじに全く触れなくても観測ができてしまうのである。

 それでは本体はどうやって固定するのかといえば、これは通常の状態が
既に固定された状態なのである。適度な力を加えれば回転するような軽さ
に設定してあるが、ちょっと触れた程度では動かないという、微妙な感じた。

 この点は、従来の測量機器に慣れた方が一番不安に感じるところだろう。
きちんと本体を固定してから微調整をする方法は安全ではあるが、その操作
が複雑になり、ある一定の角度を超える調整は固定ねじをゆるめなければ
ならない煩わしさがあった。この点においてエンドレススクリュー機能は測量
の素人でも簡単に機械を操作することができる素晴らしい機能である。そして
これはワンマン測量を実現する上でモーター駆動を採用したための、必然的
な選択であったと思われる。

 また自動視準機能は、細かな微調整や視準誤差といった問題から開放して
くれる。望遠鏡を覗くのが辛く感じたり、微調整を行うのが煩わしいと思うよう
であれば、是非お薦めする機能である。最近、この機能を搭載した廉価版の
測量機器も出回るようになっているため、これらに実際に触れてみれば、
その真価が理解できるであろう。単に楽をするためだけではなく、その精度
を上げるという点においても、検討に値する機能だと思われる。

 利点だけではなく、ワンマンならではの大きな欠点にも触れておかねば
なるまい。それは、当たり前のことなのだが、機械側に誰もいない、という
ことである。これは実に不安なのだ。機械のそばに人が居さえすれば、人も
車も犬も意識してこれを避けてくれるものである。しかし、誰もいないとなる
と、誰かが面白がって触ったり望遠鏡を覗き込んだりするかもしれないし、
ひどい場合は機械ごと持って行かれる可能性もある。車道の側に機械を
据えたときには、車の接触が気になる。犬が目立つ色の三脚に興味を
持って触れようとしても不思議ではない。

 遠く離れた地点からリモコン操作を行っていれば、子供が珍しがって機械
を触ろうとした時、注意の声が届くかどうか分からない。最悪、誰かが機械を
倒したり持って逃げた場合に、重装備で固めた身でその人物を追っかけて
捕まえられるのかどうか・・・。機械が高価なだけに、考えたくないケースだ。