観測と杭打ちの平行作業

 杭打ちの作業中に、観測作業を入れたいケースがある。つまり、杭打ちを
行ってみて初めて、そことは違う別の場所が気になって、そこも測点として
押さえておきたい、といった場合だ。この機械は、メモリーに余裕があるた
め、杭打ちをしながら観測を行うといった作業を可能としている。

 従来の機械だと、観測と杭打ちで使用するプログラムを切り替える必要が
あり、その度に後視点を視準し直す作業が必要だったが、この機器はその
必要がない。杭を打っている合間に、ミラーを設置し新たに取りたい観測点
の名前を入力して観測ボタンを押せば、その点を座標値として記録すること
ができるのである。

 ただ、この記録形式は観測時の形式と異なり、杭打ちの座標管理をもとに
して行うため、侠角と距離といった記録はせずに、「方向角と距離」及び「XY
の座標値」を記録する。

 やや分かりにくいかもしれないので、詳しく説明する。通常、観測データは
機械点から後視点を基準として観測点までの間の角度(挟角)と距離(斜距離
と鉛直角により水平距離を算出する)を記録する。この機械の場合は、APA
フォーマットという形式でこの記録を行い、測量ソフトもこの形式のデータは
手を加えることなく読み込むことができる。

 観測を行う時点(観測モード)では、角度の基準はあくまで後視点である。
これに対し、 杭打ち作業(杭打ちモード)の場合のそれは座標のX軸である
(方向角で処理する)。杭打ちと観測の平行作業では、プログラムは杭打ち
モードになっているため、角度は方向角として処理されている。そのため、
観測した点のデータは、方向角と距離、そして観測と同時に計算されたXとY
の座標値となる。観測点の座標値が瞬時に分かることは便利な機能である。

 この機械のプログラムの仕様上、杭打ち作業中の観測データは、観測
モードの時の形式(APAフォーマット)とは異なるフォーマット(GSIフォーマット)
で記録される。このGSIフォーマットのデータは測量ソフトで読み込むのでは
なく、トータルステーション内部でSIMAファイルとして変換されるので測量
ソフトへは座標値を直接送ることになる。

 ということで、観測データをそのまま測量ソフトに渡すことはできないので、
計算書が必要な場合には、その違いを理解した上で、方向角から挟角を
計算し、トラバース計算を手入力する面倒な処理が必要となる。特に計算書
が必要でない場合には、結構使える便利な機能といえるだろう。