杭打ちの方法
おそらく、このシステムの最大の長所はこの杭打ち作業である。観測は
何とか1人でもできないことはないが、杭打ちとなるとどうしても2人が必要。
これが従来の一般的な考え方だった。だが、このシステムを利用すれば、
2人で杭打ちを行うよりも、速く正確に作業することが可能、と言えばきっと
読者の皆さんは不審がられることだろう。しかし、本当なのである。
機械の設置と後視点の視準は観測の場合と同様である。当然ながら点の座
標値の情報は機械本体のメモリーカードに記憶させておく必要がある。ここで
杭打ちをしたい点を指示すると、直後に機械は自動的に杭打ち点の方向を
向く。この時、高さ(Z方向)の情報まで入れておけば、その高さの位置を
機械は見据える状態となる。ミラーマンは杭打ち点の位置がある程度分かっ
ていればそこへ、もし分かっていなければ、本体レンズ上部のガイトライト
を頼りに杭打ち点の位置を探す。
このガイトライトは赤と黄色の点滅ライトで、機械本体に対して真正面に
立ったときには両方のライトが見えるが、少しでも左右どちらかにずれた位置
に立って見ると、片方のライトしか見えないといった効果がある。水平位置の
案内標識のようなものである。これは、相当離れたところからも見えるほど
明るく、非常に役立つ装置である。難点は、垂直方向がずれると、視認性が
極端に低下するため、その方向に気をつけることである。
杭打ち点の大体の位置を定めてミラーを据え、機械に自動視準させると、
手元のコントローラーには機械の方向を向いて、正確な位置まで後どれくら
い前後左右に動かせばよいかを距離(ミリ単位)で表示する。例えば、あと
前に5p4o、右に13p2o、といった表示をするのである。従来の杭打
ちでは、一度杭打ち点の方向をセットすると水平角を調整することは少ない
が、自動視準のこの機械は視準方向の微調整は得意中の得意技である。
前後だけでなく左右の距離の違いまで表示するので、ミラーマンはそれを頼り
にミリ単位の正確な位置をスムーズに探し出すことができるのである。
観測の時と違い、ミラーの大体の位置を探すといった作業が杭打ち作業の
場合はほとんどなくなるので、時間を取られることもなく、作業を進める事
ができる。装備が重くなるのでミラーマンの負担は軽くはないが、大きな杭
を大量に打つような場面でなければ、まず問題のないレベルであろう。
また、XとY座標だけでなく、Z座標(高さ)のデータがあれば、その高さの
位置も正確に導き出すことが可能である。観測時に機械高と目標高をセット
しておけば、最近の測量ソフトは通常のトラバース計算と同様に3次元計算も
できるので、高低差のあるような現場ではかなり有効なデータとなる。
実際に行った作業で、山林の境界復元をワンマン杭打ちと従来の2人で
行う杭打ちとで平行して行ったところ、ワンマンシステムの方が打った杭の
数が多かった、ということがある。2つのグループの条件は全く同一では
ないので正確を期すとは言えないが、あくまで参考として紹介するエピソード
である。